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地理院地図Vector|自分でWeb地図をデザインできる

ウェブ地図閲覧サービス「地理院地図」、2020/3/19 から全国エリア公開

国土地理院が提供するウェブ地図サービス「地理院地図」。この地理院地図の次世代版として2019年夏に試験公開が始まったのが「地理院地図Vector(仮称)」だ。

地理院地図Vector
(出典:国土地理院ウェブサイト)

従来の地理院地図は、画像の地図データ(ラスターデータ)を用いているため、地図上のさまざまな情報について個別に色を変えたり、表示する情報を取捨選択したりすることができなかった。

これに対して地理院地図Vetorは、ベクトルタイル形式の地図データを採用することにより、ユーザーが地図のスタイリングをさまざまなデザインにカスタマイズすることが可能となっている。

たとえば白地図から建物の家形を非表示にして、水域を色付けし、注記を表示させることにより、河川や湖沼を目立たせた地図を作ることが可能で、さまざまな学校の授業や自由研究など教育用途にも幅広く利用できる。なお、画面左のメニューでは「おすすめの地図」として、デフォルトの標準地図のほか、「淡色地図」や「白地図」、「写真」、「大きい文字」など9種類が用意されており、ワンクリックで切り替えられる。

「白地図」
(出典:国土地理院ウェブサイト)

「大きい文字」
(出典:国土地理院ウェブサイト)

「淡色地図」
(出典:国土地理院ウェブサイト)

白地図で家形を非表示にして水域を水色にした地図
(出典:国土地理院ウェブサイト)

従来の地理院地図にはない、地理院地図Vectorならではの機能としては、地物の種類ごとに表示・非表示を切り替えられるほか、文字の大きさや線の幅、アイコンの表示・非表示などを変えることも可能。地物の表示については、「注記」、「記号」、「境界」、「道路」、「鉄道」、「航路」、「海岸線」、「河川」、「湖池」、「水域」、「標高」の11項目について編集できる。

さらに、色を指定して家形を塗りつぶすこともできる。カスタマイズした地図デザインをファイルとして保存することも可能だ。地図の回転や鳥瞰表示も可能で、マウスの右クリックで自由に視点を切り替えられる。

従来の地理院地図で提供されていた、年代別の空中写真や識別標高図・陰影起伏図などの標高・土地の凹凸を示す地図、活断層図や土地条件図、治水地形分類図などの土地利用に関する地図、基準点の情報、災害伝承碑や避難場所の情報、近年の災害の情報などについては、地理院地図Vectorでも同じように利用できる。

地図を回転させることができる
(出典:国土地理院ウェブサイト)

鳥瞰表示も可能
(出典:国土地理院ウェブサイト)

この地理院地図Vectorは、2019年夏のスタート時は公開範囲が一部エリアに限られていたが、3月19日についに全国エリアが公開となった。さらに、新たに追加した機能として、PC版では印刷機能を利用可能となり、任意の方角を上にした状態で印刷できるようになった。また、作図機能も加わり、地図上に線や面、アイコンを描いて、作成した情報をファイルに保存できるようになった。

このほか、「地理院地図」で提供されていた「自分で色分けできる標高地図」もPC版とスマートフォン版の両方で利用可能となったほか、スマートフォン版ではGPSで測位した現在地を地図上に表示する機能も利用可能となっている。

作図機能が追加
(出典:国土地理院ウェブサイト)

印刷も可能となった
(出典:国土地理院ウェブサイト)

スマートフォン版では現在地を表示可能
(出典:国土地理院ウェブサイト)

地理院地図Vectorは試験公開中ということもあり、注記が地物と離れた位置に表示されるなど、細かい不具合があるが、表示スピードも含めて日々改良が進められており、今後の完成度の向上に期待したい。

■URL
地理院地図Vector(仮称)
https://maps.gsi.go.jp/vector/

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片岡義明(かたおかよしあき)様

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。

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